梱包の仕事は、製品を安全に配送できるように梱包材に詰める仕事です。ネット通販の普及などで物流に関わる人の需要は年々高くなっていますが、梱包の仕事もその1つです。
この記事では、梱包の仕事について具体的な作業内容や年収、魅力など気になる情報をご紹介します。向梱包の仕事に向いている人や取得するといい資格もまとめていますので、需要が高く未経験でも始めやすい梱包の仕事に興味をお持ちの方は必見です。
梱包の仕事とは
梱包とは、製品を段ボールや発泡スチロールなどの梱包材に詰め、安全に配送できる状態にする仕事です。工場や製品を保管されている倉庫で作業することが多く、家具、電化製品、精密機械、食品、書籍など扱うものは多岐に渡ります。
作業内容は、製品を緩衝材で包む内装と、内装された製品を梱包材に詰める外装にわかれます。製品が長時間の配送に耐えられ、かつ見た目も良く仕上げる技術が必要になります。
梱包の仕事の種類
一言で「梱包」と言っても、ただ製品を包むだけの作業とは限りません。工場によりますが、いくつかの工程に分かれています。
梱包の仕事に含まれる作業を具体的に見ていきましょう。
ピッキング
注文書通りに、梱包する製品を倉庫などからピックアップする作業です。自分で動いて棚から探す、あるいはラインに流れてくる製品から選び取る、といった方法で行われます。
家具などの大型製品や、冷凍食品など冷凍庫内に保管されている製品のピッキングなど、製造するものによってはハードな作業となる場合があります。
最近ではIT技術の進化により、ロボットがピッキングしてくれる倉庫も増えてきています。
検品
細かい傷や破損など、不良な製品を見つけて梱包する前に取り除く作業です。目視で異物混入や割れなどの形を確認したり、実際に動作確認したりと扱う製品によって方法は様々です。
万が一食品の異物混入や衣料品の縫い針混入などが発生すれば大問題です。場合によっては企業の存続にも関わるため、非常に重要な工程と言えるでしょう。
また、注文通りの製品が必要な数揃っているか照合する作業も検品の一部です。
仕分け
梱包前後で行われる作業です。梱包前には、指示書に従って梱包しやすいように製品を分別します。梱包後は配送先ごとに荷物を分別し、滞りなく配送作業可能な状態に用意します。
スピードと正確性が求められる作業であり、ミスしてしまうとその後に影響があるので緊張感を持った作業が必要になります。
シール貼り
こちらも梱包前後で行われる作業です。梱包前には、製品のパッケージに成分表やバーコードなどを貼り付けます。時々書籍などにある訂正シールもこの工程で貼られています。
梱包後は、梱包材に配送用の伝票を正確に貼り付けます。荷物が正しい住所に配送されるためには非常に重要な工程です。伝票の浮きや剥がれがないかどうかもチェックします。
梱包の仕事の年収は?
厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果をもとに計算すると、製造梱包作業員の年収は全国平均で315.8万円となります。
日本全体の平均年収は、令和4年で458万円です。比較するとやや低めですが、夜勤で深夜手当を付ける、役職に就く、といった工夫で年収アップを目指せるでしょう。資格取得などの自己研鑽を欠かさず行う姿勢が大切です。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト「製品包装作業員」https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/489
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2022.htm
梱包の仕事の魅力は?
次に、梱包の仕事の魅力をご紹介します。梱包の仕事は未経験でも比較的取り組みやすい作業であり、就職してすぐに活躍できる可能性があります。実は男女問わずはたらきやすい梱包の仕事の魅力を具体的に見ていきましょう。
未経験でも始めやすい
梱包の仕事は、どの工程を担当しても基本的にはマニュアル通りの作業です。特殊な資格は必要なく、学歴不同や未経験歓迎の求人も多いため就職しやすい傾向にあります。
作業内容がシンプルなら、短期間で一人前に成長できる可能性があります。早く正確に作業する技術は、日常生活でも役立ちそうです。
業界によっては体力がなくてもはたらきやすい
食品やプラスチック製品など軽いものの梱包では、身体にかかる負担を少なくしてはたらけます。年齢や性別を問わずはたらきやすい環境です。「長くはたらける職に就きたい」と考えている方は一度検討してみる価値があるでしょう。
個人作業で集中できる
梱包の仕事はどの工程をとっても個人の作業です。全体として見ればチームワークが必要ですが、担当業務は1人でコツコツ、集中して行います。
仕事の人間関係を気にせずにはたらきたい、仕事だけに集中したい方にはぴったりの環境です。人見知りで雑談などが苦手、という方も気後れせずにはたらけるでしょう。
梱包の仕事の大変なところは?
続いて、梱包の仕事の大変なところをご紹介します。夜勤や作業環境など、体力的な面で大変な場合があるようです。
夜勤のシフトで昼夜逆転する
24時間稼働している倉庫や工場では、日勤と夜勤のシフト制をとっている企業もあります。夜勤があると、終業後に帰宅し、寝続けてしまい起きたら夕方になっていた…など、昼夜逆転生活で身体が辛くなりやすいと言えます。
夜に強い、睡眠時間が短くて平気、などの体質や個人差がありますが、シフト勤務に慣れるまでは大変な人もいるようです。
作業環境が辛い時がある
冷凍食品倉庫内のピッキングや、真夏の倉庫内の作業では寒すぎる、暑すぎる、といったように室温が辛い時があります。寒さや暑さに極端に弱い方は、事前に作業環境をよく確認しましょう。とはいえ空調がなくても、倉庫は比較的ひんやりしている場合も多く、またスポットクーラーや扇風機なども用意されている場合がほとんどです。
仕事を続けるうちに慣れてくる、対処法が身に着いてくる、といったことも期待できます。先輩社員に対策を教えてもらえるかもしれません。
梱包の仕事に向いている人は?
前述の通り、梱包の仕事には様々な魅力があります。同時に適性が求められる仕事でもありますので、ここでは梱包の仕事に向いている人の特徴を具体的にご紹介します。
1人で集中して作業するのが好き
梱包の仕事は個人単位で行うことが多いため、黙々と集中したい、自分のペースで作業したい、という方には非常に向いています。集中して自分の担当の工程をこなし、スキルを積み上げていくのが好きな方にも会っている仕事でしょう。
細かい作業が得意、手先が器用
製品の梱包は、見た目を綺麗に美しく仕上げることが求められます。様々な製品に合わせて正確に梱包できる手先が器用な方、細かい作業が得意な方は特に活躍が期待されます。
また、検品やシール張りなども細かな作業となるため早くて正確な仕事が求められるため、工程問わず梱包の仕事に向いています。
未経験から正社員を目指したい
梱包の仕事の求人を見てみると「学歴不同、未経験可」の求人が多くあります。「正社員になりたいけど、経験者じゃないと厳しい」と感じている方は、梱包の仕事を候補に入れてみてはいかがでしょうか。
仕事内容も未経験から挑戦しやすいものが多いので、正社員に限らず、初めてのアルバイトやパートとしてもおすすめです。
梱包の仕事に活かせる資格は?
梱包の仕事に特別な資格は必要ありませんが、持っていると役に立つものもあります。ここでは、スキルアップやキャリアアップのために取得すると良い資格をご紹介します。
包装管理士
包装作業のスペシャリストとされる認定資格です。受験のためには、認定団体である日本放送技術協会の会員になり、講座と研修を受講します。
講座の受講には、基本的に実務経験4年以上が必要です。「生活者包装コース」と「輸送包装コース」に分れて2泊3日の合宿で行われます。研修、座学の講義を受講し、論文提出の後に学科試験とケーススタディと面接が行われます。
中々ハードな日程で行われるので、取得していればキャリアアップのためのアピール材料になるでしょう。
参考:公益社団法人 日本放送技術協会 https://www.jpi.or.jp/saiji/seminar/2024/0605.html
工業包装技能士
工場製品を出荷して納品するまで、製品を守るための安全な包装のプロとされる国家資格です。陸路、海路、空路のいずれのルートでも、安全に製品が運べるように考えた包装を行える技術を認定されます。
1級と2級に分れており、基本的に2級は実務経験2年以上、1級は実務経験7年以上が必要です。どちらの級も学科試験と実技試験が行われますが、実技試験で出題される内容はホーページで事前に確認可能です。しっかり対策して合格を目指しましょう。
参考:厚生労働省 技のとびら「工業包装技能士」https://waza.mhlw.go.jp/shokushu/list/kogyohoso.html
倉庫管理主任者
梱包する製品を保管している倉庫を、適切に管理する知識・能力を持つと認定する資格です。法律により、倉庫業では原則として1倉庫につき1人の倉庫管理主任者を選定しなければいけない決まりとなっています。
3年以上の倉庫管理業務指導・監督役として2年以上の実務経験を有する場合、もしくは指定の講習を修了すると選任対象となり、倉庫管理主任者としての認定を受けられます。
取得していればキャリアアップにおいて非常に効果的と言えるでしょう。
参考:一般社団法人 日本倉庫協会「倉庫管理主任者講習について」https://www.nissokyo.or.jp/seminar_info/
▼まとめ
梱包の仕事について、作業内容や年収、魅力や大変な点、向いている人などの詳細をお伝えしました。梱包の仕事は、製品が世の中に出るために欠かせない、重要な仕事です。
正確さや手先の器用さなどのスキルアップにつながる梱包の仕事は、性別や年齢問わず挑戦しやすい仕事です。キャリアアップしたい方は積極的に関連資格の取得を目指せるなど業務以外のやりがいもあります。
「製造に関わる仕事に挑戦したい」と思っている方は、ぜひご検討下さい。